お知らせ
ONとOFFの極み
資源リサイクル部 主任 照井 悦志
「ご趣味は?」
なんて初対面やまだ関係の浅い方から放たれる一般的な質問。少なからず、その人に対する関心を表し、この質問を通じてお互いを知りたいという糸口になるのだろう。(昭和のドラマにあるお見合い風景のような・・)
僕に限らず、当社の社員でもゴルフや釣り、草野球、バイク、キャンプetc・・・趣味を通り越してダーツのプロライセンスを取った者まで存在する。まさに、趣味は十人十色だ。
そして、この質問を問われると、僕は「強いて言えば・・・らーめん?」と答えている。強いていえばと答えているあたりが絞り出した趣味の回答かと問われるとそうではない。無趣味を公言する方々から見れば僕はかなりの多趣味らしい。そんな僕が「強いて言えば」と選ぶ趣味がらーめんなのである。僕は一度興味を持つと変態レベルに追求したくなり、かなりマニアックな進み方をしてしまう。ちなみに2023年1年間に食べたらーめんは「550杯」昨年2024年はちょっと抑え、それでも「480杯」。お気に入りが見つかり、通っているうちにいつの間にか顔を覚えてもらっているお店も多数ある。毎週日曜日の夜に、とあるらーめん屋さんで開かれている会合にも参加させてもらったり、日帰りで函館にらーめんを食べに行ってみたり、車で青森まで渡り3泊4日で12杯食べて帰ってきたこともある。確かにこれだけ食べているのなら「強いて言えばの趣味」と言えるだろう・・いや、もはや趣味の範囲を超え過ぎて「拉麺馬鹿」と言われても反論は出来ない域に達している。
当然これだけ食べているのだから腹も出ていると思われがちだが、ジーンズのサイズは29インチを維持、年1回の健康診断も異常無しの数字をたたき出す。ちなみに健診結果が届いた日の社内では僕の異常数値を期待しているようだが、毎回期待には応えてやれない。「なんて不公平なんだ!」と嘆く社員も多数いる。
そんな僕を傍から見ている人たちは基本口数は少なく寡黙、淡々と仕事をこなし、昔堅気で所謂「仕事は背中で見て覚えろ」タイプの若い社員には通じない古臭い人であると自他共に認めているものの、ゴリゴリなハードロックの好きが高じて、LIVE参戦のため関東まで足を運ぶことも年に数回、と思えば前川清のコンサートにも行く。僕自身が発する興味のアンテナはどこに向けているのか自分自身でもわからなくなる時がある。当然、僕を見ている周りの人間が理解できるはずもない。
そんな僕にある社員が問いてきた。
「どうして車を買い替えてもナンバーはいつも17番にしているのですか?」
「いくつになっても永遠の17歳でいたいから・・・」
「・・・」
僕のキャラからみて、そんな突拍子もない答えをするとは思わず、質問してきた社員は返す言葉を失っていた。
とは言え、仕事のスイッチがONになれば、周囲曰く「青いオーラ」を放ちながら任務完遂に向けて動き出すのである。
遠い昔、スロット機のリサイクル処理を手掛けていたことがある。このスロット機は1台30kgの重さ(当時)で、鉄やプラスチックに木材、複合部品等で複雑に構成されている。これをいかにリサイクル処理をするかは、人手による解体を行い各素材毎に分別をすることが重要になってくる。そして何よりこの処理を担う者は処理スピードを上げ、次の受入れに備えなければならないのだ。そこである時、解体処理に関わるスタッフ同士で処理スピードを競ってみた。僕は自分が一番であるという自信を抱きながらスタートラインに立った。平均、1日に1人20台を解体するところを僕はそれより4台も上回る24台/日の数字を叩き出しダントツの1位となった。当然この記録は今も破られていない。(ただの自慢であることをご容赦ください。)こんな競い合いながら解体処理を進めていたある時期から入荷される台数が凄まじいことになってきたのである。搬入される一度のロットや日数も増え、心身ともに疲弊することもあったが、受けた仕事を完遂することは当たり前。どうやって迅速かつ丁寧に、そして楽しく仕事をするか考えてみた結果、搬入されたスロットを一列に10台ほど並べたレーンを作り、作業者が持ち時間で何台処理したかを競うレースを開催。これによって格段に作業時間が短縮され、記録を更新するために作業方法の改善も進んだ。我ながら「なんて遊び心のある作業なんだろう」と自画自賛しつつも、作業者からしてみたらいい迷惑だったかもしれない。しかし、仕事をする上で同じクオリティで完遂するのであれば、少しでも楽しくかつお客様に満足してもらうことはマストだと思っている。
現在、僕の業務で多くを占めるひとつにお客様であるメーカーや団体に処理に関わる報告を頻繁に行うのだが、今まで重大なミスやクレームを受けたことはない。
以前、ある案件を報告する際、メールで写真を送ってほしいと言われ、その写真に詳しく説明文を加えて送信すると「こんなに丁寧に報告してくれて驚いています。今、部下を全員集めてこのような仕事をしていきなさいと指導したんです」と、お褒めの言葉をいただいたことがあった。ある時は、部署異動時にお世話になった方に「照井さんの仕事の仕方は、とても見習うものがありました」と嬉しい返信をいただいたことが今でも記憶に残っている。年齢を重ねると褒められることはそう多くないものだが、いただいた言葉を励みにそれ以降、電話で話す時、メールを送信する時、報告する時、相手のことを考え、丁寧にしていくことを常に心掛けている。これらは担当者という一個人に向けられてはいるものの、一個人の前には良くも悪くも「環境開発工業の」が頭につく。僕の対応が誠意のないものであれば「環境開発工業の照井ってさぁ・・」から「環境開発工業ってさぁ」と一個人を通り越し、会社全体の評判を落とすこととなり、当然信頼を失うことに繋がっていくことになるだろう。僕はこのことを常に意識しながら仕事のスイッチをONにしている。
そんな僕が仕事のスイッチをOFFにした途端、入れる別のスイッチが前段のらーめんなのかもしれない。「拉麺馬鹿」と名乗るほど 魅力に取り憑かれているのは味はもちろんだが、1杯にかける店主の情熱やこだわり、スタッフの対応、店の雰囲気・・あげればキリがないが、すべてにおいてお客様に対して満足してもらうことを軸に考えているお店が僕のような「拉麺馬鹿」を生み出すのだろう。
2025年も始まり、僕は今年一体何杯のらーめんを食らうことになるのだろう??
・・と、僕という男は結局、ONでもOFFでも極めるところまで行かなきゃ気が済まず、いくつになっても永遠の17歳でいたいという気持ちを車のナンバーに刻み、これからも初老の男は前を進むのである。
