環境開発工業株式会社 Create the Future

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事故ゼロ神話が崩れた日

     

業務部業務1課 主任 下田 英之

当社には月に一度、必ず開催される「安全衛生委員会」という会議があり、部門で選任された者が1年任期で参加する。

この会議の目的は、その名の通り安全に作業をするため、あらゆる危険を想定して、部内で実施した訓練や5Sに準じた清掃活動等を報告するものだ。

俺も部の代表として、1年任期で何度か担当したことがあり、任期中はその日が来ると、なぜか朝から胃のあたりが重くなる経験を幾度となくした。

なぜなら、部内で事故が発生した場合、たとえ自分がやったものでなくても、事故を起こした当事者とセットで、拍手も歓声もなく視線だけを集める主役と化すのだ。

そして、当社の場合は事故発生から部内全体で、その事故を再現して発生した要因を分析する。

「なぜ防げなかったのか」「確認はどうなっていたのか」など部内で討議した結果を報告し、次回同じ過ちを繰り返さないよう、反省を述べるのだ。
これが、地味に・・・いや、かなり重く、そんな経験を、俺は何度もしてきた。

とは言え、自分が当事者として「はい、次は私の事故です」と言う日は来ないだろうと高を括っていた。

しかし、人生そう甘くはなかった。
俺は入社して、あと数年で30年になる。
自慢ではないが一度も事故というものに遭遇したことがなかったのに、とうとうそ神話を自ら崩したのだ。

今回犯してしまった事故は、お客様の敷地内で廃棄物を回収するためにクレーンを操作していた時、リモコンの誤操作でクレーンのブームが動き、ブームの先端と、屋根の角が接触したというものだ。

いたって、作業自体はいつも通りで段取りも、流れも、慣れており「この作業、何回目?」と思うくらいだった。

しかし、問題はブーム先端と屋根との距離・角度の最終確認を完全に「やった気」になっていたこと。

そう思った直後のリモコン操作。

……動く
……思ったより、動く
……あ、近い

……ゴンッ

音は控えめだったが、心の中ではしっかり「やったな」の音が鳴った。
幸い、人身被害はなかったものの「人が近くにいたら」と考えると、背中がひやっとする。

原因は明確、単なるリモコンの誤操作かつ確認不足。
安全衛生委員会で何度も聞いてきた言葉がこの瞬間、脳内でフル再生された。

「慣れた作業ほど危ない」「確認を省いた瞬間に事故は起きる」仰る通り、なんの弁解する余地もない。

ヒヤリハットも経験してきたし、自分なりのルールも増やしてきたが、どこかで「自分は大丈夫」と思っていたのだ。

事故は、そんな自信をきれいに裏切るのだ。

随一の自信を保っていた「事故ZERO」神話を崩壊させたことで俺はひとつ学んだ。
安全衛生委員会で詰められていたあの時間は、ちゃんと未来の自分に向けた「予習」だったのだ。

俺が定年するまであと20年弱、二度と次の安全衛生委員会で、「はい、次は私の事故です」と報告することのないよう、作業ひとつひとつを丁寧かつ慎重に確認を怠ることなく、改めて業務に向き合うと誓
うのである。