お知らせ
有好式 食品ロス削減術Ⅱ
営業部 営業課 課長 有好 哲二
有好式 食品ロス削減術Ⅰより続く
25年以上前、私は当時フリーターだった。そろそろ正社員として定職に就きたいと考え、新聞に「環境開発工業社員募集」の記事が有り、同じ北広島に住んでいるという理由で面接を受けた。正直何をやっている会社かも知らず、面接の下見に訪れた。今の綺麗な事務所と違い、古びた一軒家が当時の事務所だった。この瞬間、面接を受けるか悩んだがとりあえず受けるだけ受けてみようと思い、面接の日を迎えた。面接は当時の社長直々に行われ、軽いノリで「明日から来れる?」と、その場で採用された。「まぁいつでも辞めれるし、取り敢えずは働いてみるか」と自分自身も軽いノリで入社した数週間後、私の歓迎会が開かれた。当時は社員数10名ほどだったということと、社長も食にこだわる方だったせいか、本歓迎会のみならず、会という会の食はいつも豪華絢爛だった。
テレビで見る様な豪華な大皿にフグの薄造りが華を咲かせており「なんじゃこれ?」「こんなの食べたことないよ!」と20代前半の私の目や舌は驚くばかり。ピンク色に輝く霜降り牛肉のしゃぶしゃぶ、ふかひれ、北京ダックやら今まで食べたことのないものが毎回目の前に登場。とうにバブルは終わっているのにここにはバブルが残ってる…とも思った。(事務所はバブル崩壊感は否めなかったが・・)
そして、ある日、回収作業を終え事務所に戻ると
「有好くん、サーロインとヒレならどっちがいい?」
「へっ?@※*#$‘??」
「来週やる年度末慰労会は今回ステーキハウスだから、そこで食べる肉の種類のこと、どっち?」
人生でそんな質問をされたことは初めてで、当然そんなお店に行ったことすらなかった私の頭は混乱するばかり。質問してきた主はそんな私の様子を察して肉の特徴を説明してくれ、サーロインを選択。
当日、普段着慣れないスーツを身にまとい、黒服に案内された席の目の前に広がる大きな鉄板とどこまで高いんだと突っ込みたくなるほどのコック帽をかぶったシェフが、鮮やかな手さばきで様々な食材を調理していく。そして、いよいよ私が選択したサーロインが目の前に現れた・・・
「ここで働いてて良かったぁ」としみじみ思いを馳せながら舌を唸らせたことを記憶している。
今では、社員数は当時の6倍となりステーキハウスのような場所で催すことは難しいが、ホテル会食や年末のお持たせで出された鰻弁当等・・・頻度は減ったが食に対する当社のスタンスは基本、変わっていないと思う。きっと私が今もここに居続けているのは、がっちり胃袋を掴まれたことも一因になっているのだろう。
とは言え、ここだけをクローズアップすると実に贅沢三昧をしているように聞こえるが、このスタンスが今も保たれているのは、企業そして社員一丸となって時代に応じた変革がなされてきたことだと思う。そして私自身も気が付けば変革の波を乗り越えてきたんだとも思う。
特に当社の環境関連事業というものは、ひと昔前までの単純に「埋める・燃やす」で生き残れる業態ではなくなってきている。特に顕著なのが「食品ロス」の処理だ。この言葉自体、今では一般でも見聞きするようになったが、当時はロスとして生じたもののほとんどが焼却されてきた。しかし、昨今は肥料や飼料としてリサイクルされ、再び食品になるというプラスのループが普通に形成されるようになった。当然食品のみならず、あらゆるものが「不要=廃棄」として扱う時代はとっくに終わり、不要なものをいかにリサイクルに繋げるかは製造側もユーザー側もマストな考え方となっている。
そんな環境に関わる業種に携わって四半世紀。今は営業職としてお客様に向き合い、微力ながらリサイクル促進に取り組んでいる。
そんな日々を送りつつ、食品ロス削減を念頭に「今日は何食べようかな」と思うのである。